一昨年、あるコンペで私が敗戦していた一方そのころ...友人は狂言のキャラクターコンペでなんと入賞していたのであった。
「ござるくん」というかわいいお猿だ。
花笠をかぶったござるくんは、いかしたポーズも決めている。
ござるくん受賞のご褒美に、「鑑賞ご招待券」があったそうだ。
アタシはちゃっかり、ござるの恩恵にあずからせていただいたのでござった。
本当にありがとう!ござるくんとその作者!
人生初の狂言見物である。
今日、国立能楽堂で行われた「萬狂言 春本公演」での演目は、【茶壺】【空腕】【泣尼】の三つだった。
舞台上の人々の立ち振る舞いの端正、声の通りの良さ、日本語の美しさに感激する。
室町時代の人々が笑ったのとおんなじところで我々も爆笑してたんだろう。
人の可愛さ、トンマさ、寛容さにしみじみする。
なんの知識も持ち合わせていない私でも、ストーリーを堪能できた。
能楽堂は独特な雰囲気だ。初めて足を踏み入れた場所にもかかわらず、なつかしいような親しみを感じた。
日本人だから?木がふんだんに使われた舞台だから?
シンプルな舞台で大掛かりな装置もしかけもないのに、上品ゴージャスがあたり一面漂っていた。
演目の休憩時間にトイレに並んでいたら、二人連れの着物の方が、
「この着物、今日の演目に合わなかったわね」
とか、
「もっと明るい帯揚げにすればよかったわ」
などと会話していらした。
演目に合わせて着物選び......って......そんな世界もあるのね〜とトイレでも感心しきった私であった。
ちなみにござるくんの作者は、大島の着物を召されていた。
な〜んか、うらやましかったでござるよ。
狂言とその周辺全部を楽しむってところが。
私の狂言への第一歩を提供してくれたござるくん、今度は自腹で出かけてみたいと思います。
ちょいと歴史とか演者さんとかも勉強してみたいと思った。
きっともっとおもしろく観られるだろう。
そして、着物を着て...もいつかはねらってみたいアタシだ。