年齢を重ねてくると、旅行に出るにもひとつひとつ理由が必要になるのだ。
フットワークも軽やかに出かけられたころもあったな〜と、目をうつろに泳がせちゃうよ。
45年前、われわれは鷹の台にあった女子寮で出会った。
皆地方からの女子。
初めての「東京」での生活は不安とうれしさが混ざった、あの初々しい気持ちだったはずだ。
寮では、たったの一年しか一緒に生活してないのに濃密な時間を過ごした仲間。
♪シュガシュガやあやあプティシュー♪の忘れ得ぬ日々である。
仲間の一人は、鳥取の旅館であとを継ぎ、「女将」になった。
「いつかは訪ねて行きたいね〜」
と言い合ってから何年たっただろうか、いろいろあってすぐGO!とはならなかったわれわれだけど、今回は夏ごろから日程のすり合わせをはじめ、二泊三日の鳥取旅行実現にこぎつけた。
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最終日、お土産屋さんでうろうろしていたとき、ご主人から言付かったとお酒の銘柄を、一生懸命探している友。
「えらいねえ、ご主人思いで」
と冗談まじりでいうと、
「うん、また出してもらいたいからね〜」
と笑いながらかえされた。
胸がキュンとした。
ああ、その気持ちよくわかるわ、わかるわよ〜・・・と。
円満なご夫婦の友だけれど(会話の端々から感じられた)、二泊三日の旅はいろいろと「生活の調整」がいったはずだ。
仕事のあんばいもせにゃならんし。
子どもの手が離れたとはいえ、まあね、そうそうはね、気を使うし。
いちばんは、「夫」だわねえ。
「出してもらえる」とは、干渉やしばりのことではなく、お互いの気持ちの問題である。
うちでは、義母をまたショートステイにお願いし、スーのことは息子にタノム。
「私も60代ではよく旅行したわ、90になったら行けないもの、行っときなさいよ」
と義母は言い、息子は
「もうどんどん行ってよ!」
と送り出してくれるうれしい環境であるけれど、友だちが発した「また出してもらいたからね〜」に、香ばしい花林糖の香りをかぐ。
電車のホームで別れ際、「またね〜行こうね〜」と言い合う。
「会いたい人に会いに行く」が旅の理由って、なんて素敵なことだろう。
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