アイスクリームをどんなにこっそりひっそりと食べていようとも、必ずヤツはどこからともなくあらわれる。
アイスクリームの気配はヤツをひきつける魔力をもってるようだ。
「ちょうだい」は決して口に出さず、態度であらわす。
私の太ももにアゴをのっけて、ただひたすら顔をじっと見つめ続けるのだった。
強い視線にからめとられてでは「昼下がりのスイーツを楽しむ」どころではなくなる。
アゴの乗せられた太ももは、じんわりと熱をもってくる。
あつい。
そして私はいつだってその熱意と視線に負けるのである。
最後のコーンのおしりの部分(アタシだってここが大好きなのに)をスーにあげることになる。
ちょっとだけ残ったアイスはほんの心付け。
それはそれはうれしそうに、サクサクと、そそくさ〜っと食べるスー。
そんだけ待ったんだから、もっとゆっくり楽しめばいいのに....と思う間もなく食べおわり、去っていく。