誘ってくれた友だちといっしょに、「パブロ•ピカソ -版画の線とフォルム- その線は、とまらない」の展覧会にいってきた。
リンダの歌のような副題である。
今日はまさにうららかな日和。
ピカソは、18才のときに、初めて銅版画をはじめたという。(年表に書いてあった)
エッチングをはじめ、シルクスクリーンやリノカット...いろんな技法の版画の展示であった。
作の多いピカソ、版画だけでもはんぱじゃない。
そしてどれもがピカピカのピカソである。
見応えがあった。
帰り道、友だちおすすめのおいしい焼きそばでお昼をし、別れた。
その後、世界堂でちょっと買い物をし、ひとりコーヒーしにいった。
午後は早めに帰宅して、仕事の続きや洗濯の続きなどしようかなと、しばしコーヒーを楽しみつつ段取りしていると、どやどやっと女性グループが後ろのテーブルについた。
にぎやかな4名の集団である。(40〜50代と見た)
お昼ご飯を終えてきたらしい同じ職場の同僚らしかった。
良い展覧会を見てきたとこだし、気持ち的雰囲気を壊されたくなかったんだけどそこは喫茶店、せんないことである。
彼女たちの会話(ボリュームは10)が聞くともなく耳にとびこんでくる。
しゃーない、ここはもう聞き耳取材にしようときりかえた。
まず、
「もし会社全員で、人気投票したとしたら、この四人の中では私がきっと一番でしょうねウフフ」
の声が聞こえてくる。
発言者はいったいどんな顔で、そして言ってるんだろう?の興味が湧いてくるが、すぐにふりかえって見るわけにはいかない。
発言者以外の声は聞こえてこないが、モスグリーンっぽいムードがこちらにも漂ってくるようだった。
「50代のおばさんって、ゴルフ場の木陰で平気でトイレしちゃうんですよね〜。羞恥心って年とともに消えるんでしょうね」
などと語り続けていた。
なかなかの発言の連発である。
仲間の方は、
「そんなことないわよぉ」
と、笑い声とともにやんわり否定したり。
すると失敬発言者、またまた
「髪切ろうと思うんですけどぉ、長い方がかわいいですよね?ね、どう思います?」
かまってちゃんでもあるらしかった...。
「そーねぇ」
とかあいまいな返答しかもらえてなかったけど。
彼女が席を立ったらしく、椅子がガタガタいう音をきっかけに思い切って振り返ってグループの面々を確認した私だ。
そりゃ見たくなるって!
素早くチラッとね。でもしっかりとね。
彼女がトイレに消えた瞬間、クスクスと笑い出していた。
悪口をいうでもなく、ただただ笑い合う仲間たち。
こんなんして、会社の同僚たちって、平安を保っていくものなんだろうか?
勤め経験の薄い私にはわからない......が、想像なんとなくつくけど。
コーヒーを飲み終えたので、私は退出した。
家にもどってうちの台所のピカソを見る。
まあね、うららかな一日だったですよと、調味料の上のピカソで思う。