学生のころからの友だちと、たまにはお昼でも...と、井の頭公園で待ち合わせる。
平日の公園は、のんびりムードが3割増だ。
池が見渡せるベンチにすわってお弁当を食べ、友人持参の甘酒を飲んだ。
白鳥の形のボートに乗った男の子が手をふっている。
こぎこぎしてるおじいちゃんが、笑顔でみている。
気持ちのいい風がふいてくる。
ベンチの私たちは近況報告をしあう。
われわれの年代では、身内の者のだれかかかれかは病気、あるいは死にそうな状況下にあるものだ。
交わし合う「みんな元気?」の言の葉には、「みんなまだ生きてる?」の意味が含まれてる。
けっこう険しく厳しい話は、青空ベンチでもぐもぐしながらがふさわしいように思った。
友だちは、死にそうな老犬が家で待っているので、短時間で切り上げて帰宅。
秋空の下。
18才だった私たちは、いつのまにか共に白髪の生える少女になっていた。