一週間ほど前から、テリアのブローチをコートのエリにつけていた。
つけっぱなしにしていた。
それは気に入り度数80っくらいの、好感度の高いものであった。
ピン部分とテリアはチェーンでつながっていて、ゆれるテリア。
今日もいつものコートを着て、駅前の銀行まで歩いていったのだった。
ふと襟元をみると、テリアがいない!
チェーンが切れてる!嗚呼。
きっと道に落として、失のうてしまったのだ。
ガッカリである。
アタシは言い訳を考える。
自分自身に対してのである。
●テリアのブローチは他にもあるし、まいいじゃない?(サバサバ系を装ってみる)
●自由になりたかったんだな、あのテリアはさ。(ファンシー系思考発動する)
●もともと縁がなかったのかもね。(運命説も持ち出してみる)
ダメだ...どれもあきらめがつかない。
そこに、オプティミストな私がジャーンと登場する。
家を出るとき、ちゃんとテリアの存在を確かめたわけじゃない。
家のどこかに落ちてるとかも...可能性として0じゃないと。
かすかな可能性にすがるようにしてよろよろと家にもどった。
わざと明るく振る舞って、「ここに隠れているんかな〜♪テリアちゃん〜」とか、「はよ出てこんかーいっ!」などといいながらあちこち家捜したがヤツはいなかった。
ガッカリの上乗せしただけに終わった。
まあとにかく脱いだコートをしまおうと、クロゼットを開けたら......なんとなんとクロゼットの床におったんでござるよ。
いろいろ詰め込まれて床さえごちゃごちゃになってるのに、その中から発見した私はすごいと思う。
執念か。
このよろこび、言葉にできない。
ここにこうして経緯を記す以外に思いつかない。
前言は全面的に修正である。
●テリアのブローチ、なんつってもコイツがいちばん!
●ちょっと散歩したかっただけなのよね〜。
●私との縁は海よりも深い。
まだ無くしたことにも、後に発見できることも知るよしもない時間に、鏡のような壁面で自分撮りをした。(よく写ってないけど)
後ろに写っているのは、多摩モノレールです。
テリアは写ってないのよね〜。