久しぶりに「ちゃんとした服」を買おうと思った。
多くの人前で話をするという仕事が、もうすぐあるからだ。
ちょっとしたイベント。
普段着はたくさん持っている方だと思うが...クロゼットをじろじろ見てもよそ行きっぽいものはないのだった。
冠婚葬祭用のものは数着あるけれど、そりゃね、違うよな。
ずいぶんと洋服を購入してなかったものだから、今回はスイートポテトにカスタードクリームを添えたぐらいに甘く、
「いいのよ今日は、気に入ったのがあったら値段なんかぜんぜん気にしなくって。
思い切ってパ〜っとお買い物なさいな。いいのよいいの、ホントに今日は」
ってな優しいお母さんのような気分を自分に出してやったのだった。
新宿での用事のついでで、駅ビルのお店とデパートを何店か回ってみた。
お母さんが強く甘く「いいよ」といっているのにもかかわらず、ほしいものがいっこもない。
回ったところが悪かったのか?どーも「若向け」のお店を回ってしまったみたいだったかも。
それでも、シンプル路線やGAPなどのカジュアル路線のお店だったらアタシにも似合うのがあるはず!とふんで見回ったが、洋服に対してはわりと強気の私でも、なかなか購入までの決心はつかなかった。
イタイ人って思われるかも...とか、無理があるんじゃ...などと、いつになく弱気になってしまっていた。
ピンクのセットアップに気に入ったものがあったのだが、試着するのもめんどうなような。
じょじょに選ぶのが、苦痛にさえ思えてきた。
ダメだな、こういう弱気になってる日に買い物しちゃ、と諦めた。
洋服を選ぶのが楽しくないなんて思ったことなど一度もなかったのに。
ふと...ふとだけどね...、年取るってこういうことなのかも、なーんて思った。
気に入った洋服を買うのって、根気とか体力とか勇気なんていうものが、もともと必要だったんだ。
寄る年波ってのが、それらを飲み込んでしまうのかもしれない、なんてね、ふとだけどね、そんなことを思った。
あ〜ダメダメ、そんな弱気なことじゃ!と戒める。
今日は、買い物の気分じゃなかっただけ、また出直そうとなにも買うことなく家に戻った。
なにかイベントのために新しい服を買うというのは、いいきっかけではあるけれど、是非の度合いは少々だ。
新しい服で、おしゃれができるとは限らんしね。
持っているもので、今までとは違った着方や組み合わせ、アイデアをほどこしてこそがアタシのおしゃれ!と何度も思ったではないか!
平常心を保とう、とまで思う。
衝動買いできるほどの衝動に突き動かされない「服」はいらんのだ。
気力と体力と勇気がみなぎったとき、お買い物にいこうと思う。
寄る年波って、けっこう威力あるものだよな。
飲み込まれないよう、うまく波に乗る努力をしくちゃ...と改めて思ったよ。今回は。