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床あがり17センチの呪縛

昔々のお話し・・・新妻が皆お歯黒をしていたころ・・・いやいや、違うっ、そんな昔の話じゃな〜い。
40年くらい前、家人と結婚して間もないころだったかな〜、ある時、
「アナタの足は太くて形が悪い。現代の脚の形でなく昔の着物の人の脚だから、ふくらはぎの出る丈の服はやめた方がいい。床あがり17センチ以上のスカートははかない方がいい」
といった内容のことをやんわりとね、言われた。
やんわりとだったけれど、若かった私にはキッパリとした勧告のように耳に入った。
(今こう書いてみると、超ドイヒーなこと言われてたのねっ私!パワハラじゃん!!くっそー)
自分がO脚でガニ股歩きなのはわかってたけれど、しょうがないな、くらいにしか当時は思ってなかったし。
むろん反論したけれど、
「他人じゃ言えないことだからこそ・・・」
と続けられ、私はぐーの音も出なかったのであろう、ただ心に澱のように沈ませてしまい「自分の脚はみっともない」は決定的なものとなってしまった。
まあね、事実太いしヒラメ筋は大きく外側に張っているし、子持ちししゃものようなもっこりな段差もあるし、あまり積極的には公にしないでおこうと決めた。

ふくらはぎを出さない方向でもおしゃれは楽しめたし、海やプールでのそれは例外でもあり。
床あがり17センチに不満もなくやっていた。

子どもらが小学生になったころ、ご近所友だちで親しくなったY・Yさんに「私の足は不恰好だから」的なことをふともらしたことがあったのだ。
Y・Yさんは無邪気度数100マックスの人で、どんだけ純粋培養されたのか?と思うほどストレート(3才児みたいに)な人。
「え〜〜不恰好足見たい見たい♪出して〜」と面白がって、私のスカートをペロリとめくってジロジロと見ていた。
そして、
「どこが?フツーじゃない」
とつまらなそうにつぶやいた。
それ聞いた途端、泣きそうになったわ。

昔々家人に言われた言葉など気にしてないふりしてきたけれど、けっこうな呪縛だったのではなかったのか?と。
Y・Yさん以外の人に言われたなら、「またまた〜♪ご冗談を〜」と流したかもしれないけれど、3才児並の純粋好奇心のY・Yさんの言葉は心への浸透力が強い。解き放された思いがした。
かといって、それからミニ時代に突入!ってことはなかったけれど。

伴侶やパートナー、はたまた恋人にかけられた一言って大きいものだ。
負の言葉ほど長持ちしてしまう・・・としみじみ思うよ。

ってことだけでもないんだけど、60才過ぎたあたりからハーフパンツやショートパンツを日常にはくようになっている。(パンツは平気でもスカートはナイ笑)
夏は素足で、秋冬はレギンスと重ねたりね。
ふくらはぎの形はくっきり出るけれど、それもまた良し良し♪とお構いなし、ご機嫌で着ている。

朝起きて洗面&着替え。
平井大BGMで、チェックの膝上ハーフパンツとDr.ペッパー柄のTシャツを着る。
チ〜〜〜〜ンッとわりと強めに力入れて仏壇のチンをぶっ叩く。
「っ別に言いつけ忠実に守ってた訳じゃありませんから。私が自信なかっただけですから」
呪縛から完全解放されるには時間がかかるものね。

墓場まで呪縛を持ち続けなくて良かったなと思うよ。床あがり17センチ、今はもう笑い話♫
いい持ちネタとして、どっかでもっと話そうっと。


日々

お知らせ

2017年3月13日
ホホホ以外に.......

カゴ屋さん、メヌイ
http://ameblo.jp/menui-zakka/
と、 ココカラPARKbyやずやのサイトにイラストと文章を連載させていただいてます。
https://kokokarapark.com/
どちらも月に2〜3回ほどの更新です。

プロフィール

本田葉子

イラストレーター。長野県出身。
2017年10月より小田原市在住。
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