母のきものと帯は、いっぱいあった。
たとう紙に包まれていたので、一枚一枚ヒモを解く。
ゆっくり吟味してる時間はないので、チラ見で、今後着るか着ないかを即座に判断していった。
中にはまだ仕付け糸のついたままで一度も着てないらしいものもあるある、ある。
反物のままのも。
「サアヤ(うちの娘)にいいと思って作っといた」
というのもあり・・・絶句した。
「おかーさん、いったいどんだけ・・」
という、姉の声は無色であった。
「フフフ~」
と、音のない声で応答する母。
あたしゃ内心、わかんなくもないヨ、と母の胸中をさっするのである。
母のきものはあたしのボタン的存在だったのではなかろうか?と。
あるだけで満足ぅ~。
ときどき眺める幸ぃ~。
ね、そゆのアリだしね。
さて!と思う。
着付け教室には熱心に通おう!
復習、欠かすまじ。
断腸とシオシオの思いで、タンス解体した母の無念をば、
「ほら、ちゃんと着てるぜよ」
とみごとに晴らしてやろうじゃないか。
さっき、実家から昨日あたしが送った「母のきもの」の入った箱がもう届いた。
玄関先にどどーんと四箱。(今後も届く・・)
さーて、これをどこに仕舞おうかと、とりあえず笑ってみるよ。