テラスの12月の市。
やはり冬物がたくさん並んだ。
私も、重めな古いオーバーを持ち参じた。
寒い屋外の市。
Mさんの持ってきた売り物のもこもこのダウンのコートをふと着てみたところ、あまりの暖かさにうっとりし、しばし脱げなくなってしまったのだ。
「似合ますよ!」
「犬の散歩のときにいいじゃん!」
まわりにいた友人らは口々にそういった。
・・・・これまで、ダウンモノとフリースモノを意識的に避けて人生をやってきた私はおおいに悩むのである。
・軽い
・暖かい
のはじゅうじゅう承知している。
けれど、ずっとずっと注意深く手を出さないようにしてきた私である。
それは、なんかこう、負ける?ような気がしてならなかったからである。
「なんかこう」の部分は他に説明がつかない。
軽くて暖か冬に最適!という当たり前なところが、なんかこう、う~ん負ける?としかいいようがないのである。
思わくと寒さに負けたくなかったのである。
それをここ、テラスの市であっさりと負けるわけにはいかないじゃん!と強く思う私。
でも背中と尻は幸せすぎるほどのぬくぬくさを感じきっている。
「寄る年波」V・S「信念」の葛藤をひとり繰り広げていたのを知る者はいまい。
ここで自分に負けてたまるもんかっ!くくくっそ~!
Mさんのダウンコートを着込んだ私は、ぬくぬくのカラダと、氷つくほどにかたくななココロと一人戦っていたのである。
つづく
(今、寒い夜の犬の散歩から帰ってきて、ダウンコートまだ脱がないままで書いています・・・・)