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熟年取材

むかし....ユーミンはよくファミレス系の若い子が集う場所にいっては、聞き耳をたてて、取材?盗み聞き取り調査?のようなことをしていたという。
聞こえてくる会話から、リアルな恋愛事情とか、歌のヒントになりそなフレーズをひろったりしていたと。


昨日、日帰りで帰省した。
電車(新幹線)の中で、年配のご夫婦と、ご近所席になった。
連休中日のわりに空いた車内。
ご主人は、
「せっかく空いているんだから、別々の席にゆったり座っていこう」
と提案して、奥さんとはちょっと離れたシートまで歩いていって座った。
取り残されたみたいな感じになった奥さんは、ポツーンを絵に描いたような風情で三人がけのシートのはじっこにすわっていた。
「せっかくって」
と、「せ」の音にやや力をこめたひとりごと。
ご近所席の私にもはっきりと聞こえる音量でいった。

目が合っちゃったのよね〜、奥さんと。
すると奥さんは、ひとりごととも、私に話しかけるともつかない感じで、
「せっかくの旅行のときぐらいねえ....」
と、しょうがないわねまったくといったニュアンスを笑みに含ませてつぶやいた。

アタシも曖昧な笑みを浮かべて返す。

しばらくすると、ご主人が、大きめの「駅弁」を手に奥さんの隣の席に戻っていらした。
「食べきれないから」
と、いっこのお弁当を分け合って食べだした。
ペットボトルのお茶もかわるがわる飲みながら。
奥さんは、ときどき、
「これはおいしいはね」
とか、
「かたいわね」
とか、弁当ネタを振ったが、ご主人からのレスはいっさいなかった。

食べ終わると、また別々の席に。

文庫本や、携帯電話をみるふりをしながら、観察を続けるアタシ。
奥さんはまたまた、誰に語りかけるでもなく(いや、多分私にだろ?)
「旅行のときぐらい...」と、またつぶやいていらした。

多分アタシがそこで、
「どちらにご旅行なんですか?」
とか話しかけたら、堰を切ったように話をはじめたのでは?と思うけど、それは親切ではないような気がしたので、私はトランヴェール(備え付けの冊子)に目を落とし続けていた。

そうこうしてたら、長野駅に到着。
ご主人は、荷物も持たずにスタスタと下車していく。
奥さんは両手に荷物を持って、後を追うように急ぎ足。

改札口あたりで待っていたご主人は、両手がふさがった奥さんの巻きかけのマフラーを首にしっかりと巻き直してあげている。
(しかし荷物は持ってあげない)


リアルな熟年夫婦の、90分ドラマ。
熟年ともなると「せっかく」にも温度差が生じるのね〜。
そして、優しさとか思いやりなんてさ、ひとことじゃ説明つかんよなあ。
年を重ねれば重ねるほど、静かで味わい深くなってくものなのだろ、きっと。

赤いバッグ

雪ふるのかな.jpg
夜になると、ぐぐっと気温もさがってくる。
黒いベロアのコートに、カシミヤの黒ショールを巻く。
ブーツはかろうじて焦げ茶色だけど、「黒い人」になる。

そこに、先日の赤布バッグ!登場!
やっぱり優秀なお助けグッズである。

日々

お知らせ

2017年3月13日
ホホホ以外に.......

カゴ屋さん、メヌイ
http://ameblo.jp/menui-zakka/
と、 ココカラPARKbyやずやのサイトにイラストと文章を連載させていただいてます。
https://kokokarapark.com/
どちらも月に2〜3回ほどの更新です。

プロフィール

本田葉子

イラストレーター。長野県出身。
2017年10月より小田原市在住。
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