金麦のビールCMは粛々と続いている。
もうなん編も見た。春夏秋冬見た。
そしてあの嫌さレベルの継続ってすごいと思う。
嫌がっている人より、大好き!という人の方がきっと多いから続いているんだろう。
いやいや......「嫌」という感情をいだかせることによって、反対に目をひきつけさせる?ってな手段もあることだしな。
わからんぞい。
好き派多数とはかぎらないのかも。
男の人って、ああいったモロなかわいいおくさんが本当に好きなのかな。
女の人には憧れの対象になってるのかな?いいな〜♪って。ホントに?
ここへ来て、この夏あらたな「かわいいおくさん」が躍りでて来た!
同じくビールで。
今度はゲゲゲの女房だった人が、げんきにかわいく登場である。
初めてゲゲゲの方のCMを見たとき、金麦初見のときのような、身の毛がよだつ感情は湧かなかった。
よく似たコマーシャルなのに。
演じた女優さんのせいなのか?
「おしょうゆ系」のかわいいのおくさんも年季が入っているけれどまだまだ続くようだ。
今は「酢系」のCMも担当しているよう。
ああいうおくさんウケはいいんだろうなあ、とは思うものの、アタシはやっぱり「嫌」の印象ばかりだけど。
てなこと、少々前ならば「自分との対比」のような感情で見て、アタシにああいうのはありえない、いやだいやだって言えてたけど、今はどーもね、もうその対比では見られない。
年頃の子どもらを持つ身、すでにOBABAとも昇格したこの身上。
「こういう嫁がもしも来でもしたら...(ブルブル)」という目で見、姑根性まるだしで見るようになってきているっぽい。
アタシ、金麦もお酢も買ってるしこの先も買うから、もうやめれ〜とテレビに念を送るばかりだ。
娘が子どもを連れて遊びにきて、そして帰るとき、バスに乗るまで見送る。
行くバスに、バイバイと手をふる。
そのたんびにしつこく私は思い出すのだ。
30年も前の出来事なんだけど。
1才になったばかりの娘と私はバスに乗っていた。
下車する停留所がもうすぐ...というタイミングで娘はいきなりワッと泣き出したのだ。
泣く娘をあやしながらバスを降りると、いっしょに小学校の高学年生ぐらいの男子もいっしょに降りた。
彼は、大きな声を出して傘をふりまわしながら、我々を追っかけてきた。
足もひきずっていた。
養護学校の生徒だった。
私は怖くなって、娘を横抱きにしながら足早で逃げた。
でも彼は追いかけてくる。
傘ブンブンと奇声が意味なくこわかった。
傘の先で刺される!と思った。
郵便局があったので逃げ込んだ。
ただならぬアタシの雰囲気に、郵便局の女性局員さんは、
察してくださったようだった。
私の顔は激しくひきつってたと思う。
彼女は続けて飛び込んできた彼の手をとって、
「どうしたの?」
と聞いた。
彼は局員さんに何やら話していた。
うんうんと局員さんは聞いて、それから私に説明してくれた。
「赤ちゃんが泣いていたから、涙をふくようにテッシュを渡したかったらしいのよ」
彼はテッシュで、娘と私の顔をぐいぐいとこすってくれた。
ごめんね。ありがとう。
何回いっても足りんだろう。
...して彼は、礼には及ばぬといった風情でスタスタと去っていった。
後日、郵便局であの局員さんと会ったので、あのときのお礼と詫びをいったら、
「ああいうときは『どうしたの?』って聞けばだいたいわかるのよ」
と私にいった。
彼女の子どもも養護学校に通っているということだった。
わけわかんないような行動にみえても、ちゃんと理由があることだって。
しゃがんで「どうしたの?」と聞けば済むことだった。
30年以上も経つけど、自分のしでかしたでかいミスと、卑しい心を忘れない。
もう彼は、優しいおじさんになってる年頃だよなあ。