木曜日前日入院、金曜日切り開き、土曜日退院。
のスケジュール、あ〜きっちりとこなしてきました。
しかし、病院ってアレだね、すごいね、いろいろ。
小さな売店では、ほかほか焼きたてパン売ってるし。
あんこデニッシュなんかさ、白玉までのっかっていてとろける旨さ。
チーズスティックなんかさ、サクサクですよ。
病室は6人ゲストの大部屋であった。
私は真ん中ベッドで、両脇は濃ゆい個性の婦人にかためられた。
右側から「なんみょうほうれんげえきょうなんみょうほうれんげえきょう...」との連呼と、左側からは「ごはんはまだかしら?明日退院なの。ごはんは?」のリフレインも。
BGMのバリエーションもゆたかだった。
むくみ防止に配布された白ハイソックスもかわいいし。
そんな二泊三日の旅も終え、昨日無事帰宅した。
私の左腕は、劇的な変化を見せた!
「見せた」といっても、見てもわかってはもらえないけど。
ずっと続いていた重苦しいズッシリとした...痛いともつかない...いわば...「妙ないやな感じ」がきれいに消え去ったのである。
私の左腕の内部では、昨日こんな会話がなされていた。
骨のお父さん 「ああやっと出て行ってくれたな。アイツら長いこと居座っていたけど」
肉のお母さん 「アナタ、そんなこといっちゃいけませんよ。今までアナタをささえてくださってた恩人じゃありませんか」
小骨の娘 「でも、あの人たちがいるといつも監視されるみたいで落ち着かなかったわよね」
小骨の息子 「いっつもえらそうにしてたよな。いちいち言うことに釘さしてきやがった。ちょっと深夜にコンビニ行こうと思っても、冷ややかな目してて、ウザッ。よそ者のくせに」
肉のお母さん 「みんなっ!なに言ってるのっ!あの方たちのおかげで今日があるってこと、わすれちゃダメじゃないの。でも......本当に今日からやっと水入らずの生活にもどれて、ひと安心ね。あ〜ホントにホントに出てってくれてせいせいしたわ〜」
一同 「ハハハハ〜ハハハ〜」
と久々におとずれた一家団らんの幸せに満ちた笑いにつつまれたのであった。
アイツらとは、3本のピカピカの金属の杭である。
直径2ミリ(けっこう太いの)長さ7センチの「7」の形ものが2本深々と骨に打ち込まれていたのである。
それをまとめるように、じゃっかん細めの針金が巻かれていた。
昨日まで。
そりゃ、左腕一家も苦労なことであったと思う。
ご一家のそのご苦労が、ズッシリとした痛さともつかない妙な感じとなって、オーナーたる私に終始伝えられていたのだね。
今までたいへんなご苦労をおかけしましたと、厚く御礼もうしあげたい。
しかし、抜かれた杭たちにだって言い分はあるはずだ。
金属杭リーダーA 「みんなよく耐えたな。仕事は終わったぞ」
金属杭B 「オレたちの仲間は、NASAなんていうところへ就職して、宇宙へ派遣されたものもいるってウワサですよ」
金属C 「スカイツリーにいった仲間もいるぞ。オレらだって、でるとこにでてたら、脚光をあびれたんだ。それがあんな暗いとこに打ち込まれて...。用が済めば済んだらでお払い箱って。なんか辛くないっすか?」
金属B 「骨や肉たちの冷たい態度が忘れられないですよ。異物混入よばわりされたじゃないですか」
金属杭リーダー 「そんなこと言うなよ。お母さんはいつも優しくしてくれたじゃないか。息子がグレそうで骨肉の争いに発展しないかとヒヤヒヤしたけど。これからうまくやっていけるといんだがなあ。とにかく、我々の任務は完了した。みんな!よくやった!」
なんつて、こっちはこっちで労をねぎらい合っていたんでは?
こちらのご一行にも、心から御礼を、オーナーから。
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さて、手術でのいちばん気がかりだった「麻酔中になにをしゃべったのか」の件。
前回の麻酔ではベンケーシーについて、熱く語っていたと後日先生から教えてもらったが、今回は特に先生から報告はなかった。
しかし看護婦さん(←親しくなった)から意外なチクリが。
「ホンダさん、花岡さんの奥さんにものすごく感謝してるんですってね」
病室のベッドに戻ってから、寝言で
「花岡さんちの奥さんって本当にえらい。青洲よりえらい。奥さんがえらかった。えらいのは奥さん」
とくり返しブツブツいってたそうな。
まあまあ、その程度のうわ言ですんで、まあよかったです。