午前中から気温はぐいぐい。
集中して考えないといけない仕事と、読まないといけない本や資料を持って図書館にでかけた。
歩いていると毛だくさんの私の頭からは汗がどっと流れてくる。
赤子用にと買ったガーゼハンカチだけど、何枚かわたし用にもらっておいた。
母はガーゼハンカチにふちどりのレース編みをしてくれたが、私にそんな根気はない。
ならんでワッフル地のハンカチも吸収力がいい。
M子さんの手作りってとこがすごい。
どちらも「汗だく」の味方だ。
毛だくは、毛虫みたいな小さなクリップではさむのがいちばんよく留まる。
一度に10個ぐらい頭に。
クーラーがいいぐあいに効いた図書館で、雑誌をめくる。
澤地久枝さんと倉本聰氏の対談記事を読む。
「日本は経済大国みたいになって、日本というスーパーカーをつくったけど、付け忘れた装置がふたつある」
と倉本氏はいう。
それはブレーキとバックギア....だって。
なるほど〜と思うけど、私はスーパーカーとさえ思えない。
新宿駅、中央線ホームにて、午前11時。
お茶の水に向かう電車をぼーっと待っていたら、横にサラリーマン風なおじさんが近寄ってきて、そして小声で私にいった。
「きれいだ、実にきれいだ」
と。
私のココロは小躍りする。
しばらくぶりに、いいブログネタ、きた〜〜!と。
このおじさんは、このあとどんな言葉を続けるのだろう....と、アタシは「はあ〜?」な顔をして見せ、
「はい、きれいですけど、なにか?」
と堂々とした姿勢でお答えしてやった。
おじさんは、ひょっと身を引いたように見えた。
こんな返しは予想外だったのか?
それでも、
「お時間ありませんか?お茶でもと思いまして」
と続けてきた。
瞬時のうちに私はおじさんの上から下まで観察し終えており、大きな書類カバンを見逃さない。
そこにはきっと、大量のパンフレット(ナントカ証券とか、株とか...そういう種類のもの。正しいものでない)が詰まっているんだろう。
それともお墓のパンフと、墓石の石見本も入ってるのかもしれない。
いや?あるいは、壷か?
サラリーマンが午前中の電車のホームで、ふつーナンパ、しないだろう。
好み(中年専門とかさ)は多様にしろ。
おじさんは、きっと暇そうな女性をみつけては、「きれいだ、実にきれいだ」と滅多にいわれたことないであろうとおぼしき女性にささやいてまわる...という営業方針をとっているのだろうなあ。
実績につながるような、風貌には決して見えなかったけど。
電車が来たので、「じゃね」な顔をして乗った。
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もういっこオマケ。思い出したナンパ。
「アナタは神を信じますか〜」系の声かけ以外にも、薄暗くなった新宿で声かけされたことがある。
「ふたりでお酒を飲みましょうよ」
と、思わずオイ梓みちよか?と突っ込みたくなるような言葉はカタコトの日本語で。
「え?なにが?」
と返したら、
「わたしはトルコ人です」
といったので、
「私は信州出身だ」
と答えたら、彼は夕暮れの彼方に消えていった。
アタシの答えのなにが気に入らなかったのだろう....。