雪につつまれたセリーヌの小径では、ひともんちゃくあったわれわれ(スーと私)だったが、何事もなかったかのように小径もすっかり春もようである。
この桜の木は私のトンマな勘違い行動の一部始終の目撃者であるから、親近感をおぼえてしかたがない。
「ね〜、あのときはおどろいたよね〜」
とか、パッとひらいた花を見上げながらつぶやいたりして...。
スーはそんなアタシの足下で根っこ部分の調査のみにいとまながい。
通常より念入りにつま先で土をけずって鼻を押し付けるようににおいをかいだりしている。
そして自分の証明書をあらたに発行する。
♪アタシの前では手負いの子〜、そっとおねんねそれはだ〜れ?それはヒミツヒミツヒミツ秘密のセリーヌちゃんっ♪ちゃんちゃんっ♪
と歌いながら散歩する小径であることは、桜の木とスー.....三人だけの秘め事である。