さんざん残忍な目にあったおしゃもじくん。
それでもお医者で切った傷など治りは早いものだ。
アズキ大の血豆を残して腫れはひき、私の愛したおしゃもじくんは去って行った。
今回の【学び】は、小さな切り傷あなどるなかれ!である。
それともうひとつ、外科っぽい疾患は外科へ!である。
はじめっから外科医を訪ねていたら、いっかいスパッとズバッとやられて、歌も一曲で済んだことであろう。
50をいくつか過ぎられた読者のみなさま、どうか自分の治癒力を信じ過ぎないよう。
カラダの内部事情もじょじょに変化してきているようで・・・。
おしゃもじ三部作 完治
先生にいわれたとおり、二日後に経過を披露しに医院へいく。
包帯をとり、はってあるカーゼをめりめりっとはずすと、うなだれたおしゃもじくんが顔を出した。
視診しながら先生は、こういった。
「・・・ダメだな。裂こう」
裂くだあぁ~?
二日前には、切るだ、刺すだいったそのお口で、まだそのようなこというかぁ~!
ごむたいさ最上級。
おしゃもじくんは、よりいっそううなだれながらつぶやいた。
「どぢて一回で済まさなかった?おい?」 @心のツイッター。
♪ほんの小さな傷口に~、菌は忍び込んで~
指は腫れ上がり膨らんだ、真冬の空の下で~
たえまなくふりそそぐこの~痛み、君を愛せばよかった~♪
私はただただ歌ってやるしかなかった・・・。
ラップの箱のギザギザで、ほんのちょっと指を切ったのは去年のことだ。
三ミリほどの切り傷だったので、軟膏をぬりバンドエイドをはっておいたら、二三日で傷は完治、したように思った。
ちょっとだけ違和感のような、痛くはないんだけど、な~んか違う?ってな感じがちょいと残っていた・・・。
この「な~んか違う?」が今日の大事につながるとは。
おとといあたりから、左手の中指がズキンズキンとはげしく痛み出したのだった。
今朝!中指ははれ上がっており、ミニチュアのおしゃもじの形と成していた。
指の皮一枚下は、黄色味をおび、周辺は赤く、明らかに異常な姿。
痛さもじんじょうでないので、医者嫌いの私でも、
「行かなくちゃ、お医者さんへ」
と早朝から決心した。
そして、ズキンズキンするおしゃもじくんを、胸にいだくようにかばいながら、近所の内科医院へ向かった。
医者 「どうしました?」
私 「どうも、切り傷が化膿しちゃったようで」
医者 「見せてください」
などというやり取りのあと、お医者さんの前に、中指以外の指をグーにして差し出す手、それは、それはそれは女子として決してやっちゃいけない下品な手つきのポーズであっただろうが、今日のところは見逃してもらいたい・・・。
医者 「こりゃあ痛いよねえ」
と同情してくれたのでホッとした。
ホッとしたのもつかの間、先生は情け容赦なくこう言った。
「切ろうか?刺そうか?」
私がわざわざ外科医でなく、内科医を選択して行った意味ないじゃん!
「いやいやいやいやいやいや、そうでなくて。化膿止めとか、抗生物質とかそういった飲み薬でお願いしたいわけで」
と言う私をさえぎるように、
「もうそういう段階じゃないよ」
とあっさり却下。
「ここ、乗っけて」
と、私の下品なポーズの手は「腕固定台」に案内された。
「痛いだろうけど、歌でもさ、歌っといて」
と、先生は私の大事なおしゃもじくんに容赦なく、刃物を入れたりしぼったりを繰り返した。
ホント痛すぎで、歌を歌ってやり過ごすしかなかった。
♪先生ユー切る、マジキルユー。
針ツンツンする度流れる血ぃ、
鼻ツンツンで流れる鼻水ぅ。
こらえる感情、根性出せワシYO~
イェ~。
家帰りたいYO~。
先生ユー切る、マジキルユー♪
ただただサランラップのギザギザが憎かった・・・・。